言霊(ことだま)
 「法蔵菩薩は、求道者の行いを実行しながら、自分や他人や、自他両方を傷つけるような言葉を口に出すのを止めて、自分や他人や、自他両方に利益と幸福をもたらすような言葉を口にすること、そのことだけにいそしんでいた・・・・・・」(無量寿経)
言葉は元来、生活を豊かにする為にできたものと、私は信じている。
自己主張のしたいこともある。また憂さを晴らしたい時もある。つい情の赴くままに、言わなくとも良い言葉が口から出てしまい、他人ばかりか、自分をも傷つけかねないことが少なくない。
過ぎ去ったことに愚痴をこぼしているうちに、その自分の言葉に心が滅入って涙を流すことなどは愚かな極みである。
言葉に宿る不思議な力のことを、古来「言霊」というが、古人も日本をほめたたえて、「言葉の幸ふ国」といったという。それだけ言葉を大切にしていたのだろう。
自他ともに幸せにするような言葉をいつも口にする事は容易ではないが、法蔵菩薩は「そのことだけにいそしんでいた」と言う経典の教えと、古人が言霊といっていたことからも、そういう努力を怠ってはならないことがよくわかる。
「み名を呼ぶ口でそしるな、ののしるな」ともいう。尊いことを称えた口を大切にしたい。その口で人を傷つけるような言葉は出したくないものだ。